■第5分科会 講評 中西 淳((株)サンエー)
  最初に小林製薬さんについてですが、これは弊社のものなので内容はよく分かっていますが、特にデータで異常値を発見して売り場でその理由の確認をして、これを水平展開したという非常に細かいことでしたが、その細かいことを積み重ねていくと塵も積もれば山となるということの具現化の話の一つで、実は小林製薬さんは3年でうちとの取り引きも2倍になりました。
  それから花王さんの食器洗いですが、これは市場データとの重ね合わせによる問題の発見と問題の解決の見本になるような提案でした。また特にチャンネル別の市場分析からシステムとしてのカテゴリの強化、提案であったり、また伸び率の高いADD、このへんへの新規のカテゴリという先手の提案というのが、メーカの提案としては非常にタイミングがいいということで素晴らしい内容だったと思います。
  それからサンスターさんの年代別ニーズの明らかな違いの指摘ですが、これは非常に面白く、年代別に商品のニーズは違うんだといことに気づかされました。ただ、このデータなんですが、特に商圏であったり、収入別のデータだったり、マーケットデータをさらに細かくやっていくには、マーケットデータだけではその店の現実を表していないという場合があります。
  それからユニチャームさんですが、比較的新しいカテゴリーの軽度失禁商品についての検証の報告の中では、ベストなレイアウトはどこなのかという提案は非常に興味深いと思いました。また年金支給日に合わせてライフリーの販促提案というのは、非常に効果的で、これはぜひ参考にさせていただきたいと思いました。
  最後にあらたさんからはシーズン別売価の変更の必要というのがありましたが、これは特に宅配のマーケットと店舗というのを重ね合わせていて、我々は無店舗販売というチャンネルを持っていなかったので分からなかったんですが、これは全く連動しないということではなく、明らかに店舗マーケットとも連動しているということが明らかにされたので面白かったです。全国MDではいわゆるローカルが全て当てはまるわけではありません。いわゆるローカルというのはエリアMDが非常に必要だということです。


■第5分科会 講評 根本 重之(拓殖大学)
  小林製薬さんですが、楽しくて明るくて分かりやすくて、結果も大成功ですよね。この中で小林製薬さんの企業の特徴ですが、ロングテールに商品を持っているということは、自分たちの形をよく知っていて、やるべきことをきちんとやっているという感じでした。異常値、あるいは突出値を発見して、全店をそのレベルまで引き上げようということは、他のメーカーにもいろいろ参考になる話だったのではないかと思います。
  次の花王さんは、小林製薬さんがロングテールをやっていくとすると、花王さんはこの分野ではわりにヘッドに近い部分での本格的なアプローチをされたと思います。ただ花王さんのアプローチのよかったところは、顧客との課題の共有なんです。それはスーパーマーケットが相手ですから、「ドラッグストアと戦っていても、ADDではおたくが勝っているでしょ」というような最も重要な異業間競争というのをすくい上げて、そこで顧客と課題を共有しているのはいいとろだなと思いました。
  サンスターさんは鮮やかなシート作りでした。そしてコアの商圏タイプ別のMD問題にアプローチされたと思います。ただ、ものすごくたくさんの分析をされていて、おそらく時間が足りなかったんだろうと思います。ですからもう少し絞り込む部分があった方が、ここでは分かりやすかったのかなと思いました。
  ユニチャームさんはこれからの高齢化ということをテーマにやることはやっていくという、専門性が高いアプローチだったと思います。大人用紙おむつ売り場で売るよりも、生理用品売り場で売る方がいいなど非常に明解でした。もう一つのポイントは「競合品がこういう売り方をしてやや売り上げが落ちていますよ」というように、競合商品をちゃんと分析した上で、「うちはこうします」というのは提案としてよく聞けますよね。やはり競合品も含めて商品が出てくると、話が非常にリアルになってくると思います。メーカーのアプローチ、プレゼンテーションですから競合の中で自分たちはどうするんだという提案もいろいろやられていいだろうと思います。
  最後にあらたさんですが、カイロなどプライベートブランドを含んだ売り方の問題がありまして、「需要期に価格戦略というのはおかしいよ」というような非常に深い問題点を突いたアプローチだったと思います。そこで使っているデータもその企業のPOSだけではなく、他社のチラシデータも使って「それはおかしいでしょ」ということを言ってきているわけで、これは言ってもらう小売業さんとしても非常に参考になる話だと思います。季節感というのは非常に重要ですから、ぜひそこらへんを見せる見せ方というのをもう少し考えてみられたらいいのではないかと思いました。
  最後に簡単なまとめですが、まず専門性によるリーダーシップの発揮です。非食品というのはスーパーマーケットからみると分かりませんので、それに対して非食品のメーカーはスーパーマーケットに対して専門性によるリーダーシップがとれるはずですから、それを十分に発揮したらどうかということです。しかも非食品は食品と違った成長性があるので、老人用の紙おむつとか失禁用の手当をする商品などはこれから伸びてくるものだと思うので、専門性をもっと重視するべきだと思うのです。
  2つめはロングテール分析をやろうということです。スーパーマーケットの商品から見た場合、非食品商品というのは相当売れているものも含めてロングテールの世界にいると思います。そこで自分たちはロングテールにいるんだよということで、どうやっているんだということをかなり強く意識した分析をやってみてはどうかということです。
  3つめは“なぜなぜ分析”というように理由を分析してみるということです。これは非食品ですからスーパーマーケットの人たちはそれほどよく知らないというのが一つの前提です。他方、メーカーの方は圧倒的な専門性をもっているということです。したがって市場の動向を分析していって、「それはこういうことなんです」ということをもう一度言ってみたらいいと思うのです。
  4つめは“時を味方にしよう”ということです。大きな時間の流れで高齢化ということを味方につけないといけないですし、もう一つはシーズナルなイベント、あるいは国家的なイベントも味方につけていこうということです。もう一つは小さなタイミングで年金支給日なども味方につけていくことが大切だと思います。
  5つめはコスト削減提案に本格的に取り組んでいこうということです。小売業の競争は厳しくなってきますから、「こうすれば売れるということだけでなく、こうすればコストが下がって、さらにこうしたら売れるよ」といった2段階のアプローチをしていきたいわけです。
  最後にマーケティングのローカライゼーションについてです。今日でいうと一番南で頑張っている小林製薬さんと、一番北のあらたさんのお話があったわけですが、ものすごく地域性も季節性も違ってきます。しかしこれだけマーケティングが厳しくなってくると、ローカルが考えていって、ローカルがやっていく手数をなるべく多くして、そこから逆に機能的に本社の戦略をつくっていくということをやらないと、企業としても戦いに勝っていくのは難しくなると思います。